市議会と議員
50歳直前に地域入りし、その後団体に所属することなどから、地方議員との接触もあるようになった。と言っても、私の接触というものは「議員に何か依頼する」と言うものは全くなく、一般世間での接触範囲である。にもかかわらず、2008年だっただろうか、依頼され「某党派の改革委員会」なるものに出席して欲しいということになり10回延べて20時間ほどの会合に出席した。
役人にも同様に接触するから、議員の評判なども入ってくる。いろいろ議員に対して考えるようになった。
議員について何故何故を繰り返してみよう。ただ、地方議員に限定したこととしておこう。議員の能力というものは「何故こんなレベルなのか」ということから入ることにしよう。
- まず、議員への魅力である。ほとんどの人にとって魅力あるやりたい仕事とは思わないだろう。中にはそう言う人も居るかも知れないのだが、地盤・看板・金と言う世界へ飛び込むのは大変だから諦めてしまう。こんな結果、二世三世がやむを得ずという人も多いだろう。
- 議員には難関校出身者などはほとんど居ない。このような学校を出て、即地方議員などと思わないのは当然と思う。「××大学院」などと難関校の大学院を語る人も居るのだが「では大学は?」と調査してみると、聞いたこともない大学の場合がある。今時、大学院などは結構受け入れるものだから、知的な人々はこんなことには騙されないのだが、世間一般は騙されてしまう。この時代になって1970,1980年頃の生まれでも高校などという人もいる。学歴がすべてとは言わないのだが「名は体を表す」と言うこともある。
- こんなことは議員同士知っていることだろう。では何故、主要政党が議員を育てようとしないのだろうか。
これには、こんな事が思い浮かぶ。
- まず、政党というものが「洗練された組織ではない」と言うことである。中央議員は様々な利権に後押しされた人が多いだろうし、地方議員の場合には利権と言うよりは地域の人望や基盤で後押しされた人が多いだろう。烏合の衆とまでは言わないが、志が一致しているとは言えないことである。組織形成の基本がないのである。
- 議員には、例えばある大きな会社でのある期間の経験がある人がどれだけ居るだろうか。こんな経験がない場合「洗練された組織経験はない」と言えるだろう。中には「彼奴は数ヶ月勤めた経験があるが、どこも駄目だった」と言うような人もいる。
- そうであれば、議員になって組織に疑問を持ち、組織を変えよう・改革しなければという発想は生まれないだろう。
- さらに、悪く考えれば「組織を洗練し、新たな優秀な議員を」と考えると、駄目な自分の身を危うくする、今のままがよい、「先生!先生!と呼ばれるだけで結構」となってしまう。
主要政党の支部にでも行ってみよう。居るのは、小遣い男職員一人、女性事務員一人などである。これでは、戦略や戦術も議員の独り相撲でしかやれない。だから組織ではない。しかも、その職員がある国会選挙では候補者末端にいる。呆れはてる。もっとひどい多数党は、議員事務所の片隅に机1台などという。
- こんな事だから、市に対する企画能力などはほとんど持たないだろう。では、役人が作成する文書に十分なチェック能力があるかというとほとんどないだろう。チョック能力がある人というものは、自分が文書をつくりまくった経験がある人にしか備わらないだろう。
- 私は地方出身のある人と定例的に一杯入りながら交流している。彼などは「東京へ出る能力が無かったものが田舎で議員をやっている」と言っている。
ある議員をいじめていると「我々は役人から馬鹿にされていますから」と聞いたこともある。
- 東日本大震災は政府や政治家の体たらくを極言まで露呈させることになった。その根本原因は上述のことと同様だろう。H・K総理大臣などは、このようにだらしない組織経験しかなかったはずだから、当然の帰結と言えるのだろう。
世の中は世界も日本も変化しているのだから、最適な世の中の運用システムというものを日々構築し改めていなければならない。日本人、政治家・役人はこのようなことに極めて弱いと思う。例外は輸出で頑張っている企業である。そのような企業人は政治に転身した方が余程よくなるだろう。
- 中央も地方も政党の無能力が目に付き、多くの人が憂えている。しかし、根本的な原因は「議員を輩出する構造にある」のだろうと思う。政治家になれば、こんな事で世の中に尽くせる、自分も議員になれる可能性があるのだ、という政治を取り巻く環境作りを考えなければならないのだろうと思う。政治がだらしない。その根本原因は根深いと思う。
先に述べた10回20時間の会合も終わろうとしたときに「10年間同じ人が同じ意志で改革を続ければ変わります。頑張ってください」とからかい発言をしたことがある。自分は会社勤務時代に改革の大変さを経験したので大変さを訴えようとしたのだ。何故「からかい」かと言えば、その会議の流れやレベルを見ていて、全く無理と思っていたからである。その時の議員のリーダは事情で市議会を去ってしまった。今は全く忘れられた出来事になっているだろう。「ケロ!」っと忘れられなければ政治家など務まらない、と言うことはあるだろうが、こんな事は忘れては困る。その時の議論というものを思い出し、示しておこう。ただ、何の効果も出ていないはずである。
- 定年・・・議員定年の話となり、選挙時点で70歳以下となった。委員の中にも60歳は若いなどと言う人も居るものだから「60歳で大手企業の社長などざらにいる、それを若いと言えるのですか」と反論したことがある。個人差だが「70歳でも活動可能な人も居る」と言う話に対しては「(党が組織なら)大所高所から指導・支援する場があるはず」と発言した。
- 議事録無し・・・こんな会議をしていながら記事録などほとんどない。党支部が男一人女一人で能力がないからである。だから話は同道巡りする。
- 支部のマニフェスト・・・「支部のマニフェストをつくるべきだ」と発言すると逆に「それは何か」と聞かれたので「(構造的でも階層的でもなく重点も明確ではない本部のマニフェストは見る気にもならないが)地域には地域の固有性がある。本部と整合された地域固有のより具体的なマニフェストがあるべきではないのか、マニフェストは支部にも必要、我々は本部のマニフェストなど一般論としか評価しないし、当てにもしない」と説明したことがある。それまでは、マニフェストとは本部のものと思っていたのだろう。
- 委員は地域の顔役?・・・今の会議を何のためにやっているのかを忘れ、自己宣伝している連中もいる。私は昔は電気屋、自分を論客とは思っていない。論客ばかりと思って出席したら、顔役を拾った状態だったようだ。
- 改革委員会でありながら、議員ですら「選挙戦術問題」を話し始めるものもいる。街頭演説や駅前演説が有効かどうかなどである。黙っていればいつまでも話しているし、気付いている委員も遠慮しているから指摘し中止させたこともある。頭が組織的・構造的でないから戦略と戦術の違いも知らないのだ。
こんなことで笑ったことを思い出した。ある地域では選挙で「頑張ろう!」をやると壇上に上がってくる人が多いという、ある地域では全然上がってこないという。私が「地域性ですね」というと、ある委員が「(怒るではなく)自分の地域のレベルですかね」と笑いながら言うので「私の方は中間ですね」と話したことがある。
- こんな事で、党の支部とは、中央の単なる集票組織としか思えなくなった。
思い出そうとしても、こんな程度しか思い出さない。20時間も費やしてそんな内容だったと言うことなのだろう。私も某党の会費だけ付き合いで払う最下層会員である。ある大会への出席を聞かれたので「もっとしっかりしたら出席する」と答えた。
口が悪い私と議員との話をお示ししてみよう。
- ある議員が世代交代した。「爺さんや親父の時代と違うからな」とからかうと「何ですか?」と言うので「世の中は変わっていると言うことよ、地方分権も進むかも知れない(私は日本の(集団や組織)スマート化は権限t責任の委譲である、これしかないと思っている)、市議会だけで終わりではなく、県会など上を目指せと言うことよ、地域のご用聞きではなく勉強しろと言うことよ」と話したことがある。
- これは国会議員である。ある会合に息せき切って駆けつけてきて「今法案の修正案を通してきた」と言うものだから、内容を聞いた見た。ある法案を通したら、こんな影響が出てこう修正した、と言うことだった。そこで反射的に「何でそんなこと最初からわからなかったのか」と言うと、相手は黙っていた。
- これは県会議員である。53年振りに議員立法をしたと得意げに話しているものだから「(変化の激しい世の中で、すべてが中央任せには出来ないのは当たり前だから)53年間何やっていたの」と皮肉った。これも返事は帰ってこなかった。
- これは国会議員である。ある会合を持ったら、出席資格もないのに「私も会員ですから」と押しかけてきた。その場で資格なしは可哀想だから、後でメールで注意した。
- ある条令を私が推進していたら、ある議員の支部の機関誌に私の批判記事が掲載された。某党だが、こんな事をする党はお分かりだろう。誰が情報を流したのかもわかっている。いろいろなところで掲載を承認しているはずの議員に会うことはあるから「今度あったらとっちめてやろう」と機会を待っていたのだが「一緒になっても、こそこそと遠くに逃げてしまう」。
こんな事平気で言うものだから、嫌われるだろうが性格だから仕方がない。逆に議員を個人的なことでは当てにもしない。しかし、公的なことでも当てにはならないことが多いのは困りものである。選挙の票集めを頭に置いている議員は、公的なことでもあつれき事は避けるのである。あつれき事が発生する企画からは議員は逃げる。だから、悪役覚悟でない議員に改革事はできない。
多分何もせずあの世行きとなるだろうが最近こんな事を思っている。
- 「老人団体」でもつくり、優秀な企業OBを市議会にでも出せないだろうか。能力も明白、年金も保証され、当選できなくとも食うや食わずにはならない。
- 出来れば65歳以下がよい(二期ほどやれる可能性がある、難しい問題は優秀な人はこの年齢ではまだ働いていることである)。
- 機能面では、(企業経験からの)議員と行政の刺激役と監視役と市民への率直な情報公開を主体とする。
- だから、多数派は目指さず、1区一人でよい(老害になる)。
古希を過ぎてから、こんな風に思うようになり残念である。