非常事態への対応組織
- 原発事故を教訓として、原発に対して「原子力安全庁」が出来た。しかし、また政治家・学者・役人などでの組織遊びが始まるのではないかと心配している。それらの人も真剣に頭は使っているのはわかっている。しかし、所詮育ちが育ちだから、それらの人々任せでは以下に述べる「原子力安全軍隊にはならない」と言いたいのである。
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ちょっと考えてみれば、
- 原発など重大事故に対する組織は「軍隊レベル」でなくてはならない。
- その軍隊レベルも「特殊部隊レベル」でなくてはならない。
- 所有する機材も大型で特殊なものでなければならない。
- そんな組織は、出番がないのが社会は正常と言えるのだから、出番が頻繁であってはならない。
- ということだから、出番ない状態で、訓練に励まなければならない。しかも、熟練度は図面など見なくとも、あるいは図面などは確認のためにチラリと見る程度で、マニュアルも頭の中に入れ同様なレベルで事に死を覚悟で対処できる人間でなければならない。頭も肉体も頑健でなければならない。
- 訓練での問題点を自組織内だけではなく、設計や製造の業者まで反映出来なければならない。
- 大変なお金がかかるが、利益は生まないものだから、ほとんどの電力会社には手に負えないものである。特に弱小電力会社では手も足も出ない。
- そうなれば国家的な事業として推進しなければならない。
- この事業を単独で推進しようとすれば、人材や機材などで無駄も出る。自衛隊などとの連携が密でなければならない。
と、このようになるであろう。
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- こうなると、素人政治家やペーパ人間(役人と学者)中心で推進できるものではなかろう。
- メーカなどの歴戦熟練者(開発実践者)も必要だろう。かつ、その人が権限や責任の中心になる場も必要だろう。
- システムがメーカー毎にあまりにもバラバラであれば、特殊部隊の対応能力も落ちてしまう。そのために、システムは可能な限り標準化されていなければならない。
- 皆が専門家にならなければならないのだから、従来の役人にありがちな異動は極めて少ないものとしなければならない。
- そうするためには、役人世界をジェネラリスト優遇ではなく、ジェネラリストとスペッシャリスを同じように優遇できるシステムに変えなければならない。
- ここまでやらなければ、本当の専門特殊部隊があるとは言えず、機能することにはならない。ところが、今また役人と学者中心の世界が生まれようとしていると思えてならない。
地元の土木業者から聞いた話だが「大手建設会社には1年に数日しか働かない(働けない)高給取りの人が居る。特大なクレーンの運転手で、何十メートル以上の巨大な橋梁を船上のクレーンでつり上げ波や風などすべて計算に入れながら、目的のポイントにぴたりとおろせる人」と言う。そのためには日常の節制や訓練も必要だろう。特殊部隊とはこんなものであろう。
- 以上は原発に関する記述である。しかし、消防・警察・官庁・地方行政などレベルは違えども、すべての組織が同じような考えを持ち準備する必要があるだろう。