ある行政の防災対策
官民協働と呼ばれる会合がある。この会合のテーマが「防災対策」となり、備品や食料などを備蓄している倉庫点検をしようということになった。
私は、参加しなかった。何故、参加しなかっただが「そもそも行政が(市民から観て)合格点でやっているはず」「そんなことを観て歩く暇もない」「自分の敷地内は結構やっていて多分依存しない」などがあるからである。
- 初回の点検
倉庫は小中学校の一角にあり、食料の備蓄倉庫には保管リストも満足になかったようである。どこが管理責任部門かもはっきりしないようである。備品も同様だったようである。見学から帰ってきた人が「保管リストが必要」などと発言しているのを聞いて「口があんぐり」だった。民の委員がお定まりの「備蓄を増やせ」などと言っているので、この怠惰は別として「増やしても際限がない、住民各々での対策教育が必要」と発言した。
- 2回目の点検
非常時の飲料水の備蓄場所を訪れたら、循環式でもなく10年前に設置以降水の入れ換えをするわけでもなく、放置してあったそうである。勿論管理元などわからない。ポンプを動かしてみたら、何とか動いたそうである。
- 3回目の点検
食料、非常用発電装置、発電装置燃料などが土地が離れている別の場所に保存されていたそうである。非常用発電装置を動かしてみたら動かず、いつ最後に動かしたのかもわからなかったようである。見学した人間は、長年放置し燃料が水分劣化しているかも知れない、などと言っていた。なぜ、こんなバラバラにと聞いたところ、分散を指示されたから、と言うことだったようである。食料も期限切れなどがあったようである。
こんな不備だらけだったようである。私には不備以前の問題と思う。
その後の懇親会で
- 呆れはてた、
- 現在の行政トップや担当者の責任とは言わないが、役人の「仕事の質」の問題、
- 50点くらいかも知れないから、70点まであげるために協力して欲しいとでも言われれば、頭も使いたい、
- しかし、10点くらいのものを提示して、その改善に(他に仕事を持つ)民間人を使わないで欲しい(我々はそんなに暇ではない)、今は幼稚園以下、言わなかったが後で「あなた方は給料もらって仕事としてやっている、こちらは無給のお手伝い、本末転倒ではないの」と追加したくなった。
などと発言してしまった。職員1万人以上の政令都市でのこんな体たらくは全く理解できないし、他の諸々も同様なのかと頭をひねってしまう。
状態を細かく云々するのは馬鹿馬鹿しい。一事が万事の可能性があるからである。その原因を追及し、原因を除去しなければならないからである。そこで、原因的なものを探ってみると、
- 担当部署が明確でないことである。なぜ、明確でないのか。勘ぐれば用地は学校など、教育委員会下にある。備蓄推進は別部門にあり、教育委員会への遠慮、点検などにおけるその都度の教育委員会へのお伺いなど縦割り行政にあるのかも知れない。
- 2回目の点検の飲料水備蓄だが、こんなものが駄目なのは素人でもわかる。どこかの部署が予算をとり、能力に欠ける担当者やその上司が、業者任せで構築したものだろう。教育委員会からの注文や制限もあったかも知れない。行政の中に建築や土木などチェック部門はいくらでもある。多分こんなチェックもなかったのだろう。これもまた縦割り問題ではなかろうか。民間のものに対しては、厳しいチェックがあるが、身内にはなし、ということである。民間の貯水槽は毎年保健所から問合せが文書であり、清掃とチェックを実施していることを保健所に届けている。
- 区に専任担当者を置くのか、消防系を増員し任せるのか、考えたらどうだろう。爺ばかりの町会は組織的な歯止めがかからないから駄目である。以前「自衛隊基地は全国にあるのではない、災害が起こって駆けつけるには時間がかかる、そこで重要なのは消防である、ところが日本の消防は資源(人・物・金・情報など)が弱体でもっとここを強化する必要がある」と聞いたことがある。今の消防も「火消しの延長に過ぎない」と思っている私には、消防任せも心配なのだが、一般職員よりは増しだろう。
- ある程度規模を有する一般民間企業でこんなレベルの仕事の質はあり得ないだろう。お客から見放されて直ちにおかしくなってしまうからである。これは競争なき世界の甘え、といいたいところだが、この人達は出世競争以外は理解できないのだからどうしたらよいだろう。区役所などは区内に2つ設置して、どうぞ気の利いた方にとでもし、気の利いた方を昇格させたら、多少は競争心が生まれるかも知れない。変な教育をするより良いかも知れない。でも、連んでしまう可能性もある。難しいものである。
- 市長は間もなく二期目を終え、三期目の最期の出馬「自己目標を設定し、それを達成できたかを評価するようなシステムの構築と、自分が居なくなっても逆戻りしないで歯止めがかかる仕組みを構築し終えたい」と言っているのだが、果たしてどうなるだろう。