ホールのノイズ
人為的なものは別として、ホールのノイズには下記のように様々なものがある。
小さなホールだから人と空調機・音響機器と照明機器なども近接していていろいろな影響を受けやすい宿命にある。
- 空調音と空調機の交流音・・・空調機は動いていればモーター音や風音がするのは当然である。しかし、動いていなくとも音は出ている。室内機には電気が常時通電されていて、これらがトランスやその他機器に到達している。交流は50Hzなどで、高調波も含んでいる。「ブーン」という低い唸り音が聞こえる場合がある。
滅多にはないのだが、専門的な録音の場合には、ブレーカーなどで電源を完全に切らないと駄目な場合がある。静かな音楽会の場合には、空調機を切ったり入れたり気を使う。
- 照明装置のノイズ・・・昔のように抵抗器によって減光しているのならよいのだろうが、今は半導体によるチョッパーと言って電流を小刻みに断続し、電流ONの時間を短くすることによって減光するものが多い。この小刻みな断続が電波を発生させ音響装置やケーブルなどに乗るのである。
ケーブルの種類によって乗り方は違い、このために音響などでは同軸ケーブルが使われるのだが、それでも乗るのである。
音響系の装置の間の接続の信号レベルは、
- マイクレベル(50/1000ボルト程度)
- ラインレベル(500/1000ボルト程度)
- スピーカーなどのもの
の3種類に別れるのだが、ケーブルに乗る雑音のレベルはどんなレベルでも一緒だから、信号の小さなマイクレベルのものが相対的に大きな影響を受けてしまう。このノイズは消しきれずに、マイクが完全な無音状態でも、マイクやスピーカがつながっていると「ジー」という音をスピーカーから発生させてしまう。
こんなことで、マイクやスピーカには自分で工作したスイッチを設けて、音響装置から完全にそれらを切り離すようにしている。マイクを使うときだけスイッチを入れる。でも、一般的なホール利用者に理由を含み毎回説明しなければならず面倒でもある。
- 時計音・・・ある録音者から時計の「コチッ」と言う音がと言われ、それ以降繊細な録音時には時計を止めるようにしている。
- エレベータ音・・・「クーン」というエレベータのモータ音だけはどうしても入ってしまう。ホールは雑居ビルの一部だから仕方がない。
- 別の階での内部の工事音など・・・コンプリート壁をハンマーなどで叩かれるとこれは建物中のすべてのところに伝わってしまう。ある時、ホールで軽くだがフラメンコを一時やりたいと言ってきた。テナントも居ない日曜日なので許可した。和太鼓も同様に許可したことがある。すると、すべての階で、同じような音量で音が聞こえるのである。分析してみると、ホールの床や壁が震動し、それが縦の壁に伝わりスピーカのコーン状態となり、と言う具合ですべての階で音が聞こえるのである。以降このような利用は原則お断りすることになった。
- 外部の工事音・・・この建物に隣接した周囲にも建築工事が何度も発生している。通常の工事音は問題ないのだが、既存建物を破壊するときなどのコンクリート破壊音、地面を伝わり、高層階へのコンクリート圧送音などは空中伝搬で、こちらの建物にも震度や影響を与えてくる。こんなことで、工事が発生すると建築業者には当ホールの利用状況と工事内容を調整するようにお願いしている。
- ノイズではないが理屈を知らない人がスピーカの音量をあげ、ハウリングを起こす場合が時々ある。いちいち理由を説明している。
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最近こんなこともあった。
- 息子が、メインマイク(長いケーブルで引かれてる)に放送と思われるような電波が乗っていると言う。爺耳の私にはわからない(その後の発生ではわかったが)。
- 再度発生したので原因を探し始めた。
- メインマイクは吊りマイクで上下動ができ、電気スイッチによる周動接触部がある。偶然、電気スイッチをいじると直ってしまった。
- 電気屋だからこんな推測をするのだが「周動接触部の接触が悪いが、断ではなかった」。そこで「ケーブルが半分浮いていてアンテナ代わりになっていた」と言うことらしい。
- 周動接触部の点検や清掃を怠っていた結果である。