ご利用の方々
ホールは多目的でないと利用度が上がらないだろうと考え、ある程度の多目的利用を予定して企画したものである。開業後まもなく「いろいろな方々にお借りいただくことになるが、ほんの一部にはお断りする人も出てくるかも知れない。「例えば数%もそのような人が出たら、こちらがおかしい。ある範囲はお断りするもの仕方がないだろう」などと話していた。
ホール開業後数年経過して、原則としてクラシック系の方々にお貸しすることを原則としようとなった。この理由はいろいろあるのだが、
- 当ホールは、まず「Do it yourself.」で人出がかからない運営を心掛けようとしていたことである。少々利用度を上げようとして、複雑な賃貸に対応しようとすると人出を増やさなければならなくなるし、ある程度の技能者が安い賃金で雇用できるとは思えない。それによってどれ程利用度が上がるかも疑問である。それならば、静かな利用の範囲でお貸しした方がよい。
- クラシック系は静かで手間がかからない利用であること、
- ライブ系などは照明や音響など手間がかかる。利用者が業者を連れて来るとは言え、様々な問題があることを何回かの経験でした。こちらも気疲れする。
- クラシック系主体なら家族主体でやって行ける、
と言うようなことである。人件費は何より高い。
開業後数年経過して上述のような方針を強く定め経営することにしたのだが、お断りする人ややりとりで気まずくなったりしたケースも出た。まあこれは当然だろう。しかし、その数は20年で10件にも満たない数である。繰り返しの利用の方も多いが、年間100組としても2000組にお貸ししており、この数は極めて少なく、こちらとしても想像以上によい方々に使っていただいており、有り難いことである。20年経過したホールもほとんど傷んでいない。
前述のように極めてわずかな例であるが、こんなものがあった。
- 大音響はお断り・・・あるライブにお貸ししたところ大音響、そこまでは厳重につくっていないビルが丸ごと震動し、壁はスピーカのようになりどこでも音が聞こえてくる。機材搬入も大変、ホールにも傷がついたなどがあって、その後はお断りし、一切大音響ライブにはお貸ししていない。
- 申し訳ないが和太鼓はお断り・・・和太鼓も全く同様である。礼儀正しく、統制がとれた人々で申し訳ないがということである。
- 撮影利用は原則お断り・・・何回かは撮影(ドラマやコマーシャルなど)にお貸ししたことはあるのだが、その後は原則お断りしている。なぜならば、企画書もない段階で申し込んで来るので貸して良いものかどうか判断つかない・時間がめちゃくちゃでこちらの予定がつかない場合がある(仕方がない面もあるが)・機材の持ち込みで大変・雨なら使う、などなど少々の割増料金をいただけても大変だからである。こちらがくたびれてしまう。テレビ局などを語って来るが、大方は下請けの人々で中には程度が低い人も居る。
- 安直な申込みをして、キャンセル、予約金を返せと言ってきた・・・女性だったが、ぞんざいな態度で申し込んできたので警戒していた。案の定利用直前にキャンセルしてきた。予約金はお返しできない、と言ったら怒って帰っていった。
- パフォーマンスには警戒・・・「何の利用ですか」と聞いたらパフォーマンスという。音楽劇なので、お貸ししたら、大工まで入る舞台づくり、今後はそれなりの会場でと以降はお断りした。
- ある人だが何年か連続した利用者だった。こんな何回もの不一致が起こるものだろうか?
○ 最初の利用時には「ピアノのキーを重く」と言ってきたので調律師に依頼したところ、当日「私は軽くと言った」というクレームとなった。受けた当方の人間は「確かに重くて言っていたはず」ということだった。
○ 次は一旦予約した後、「まち」で妻にあったときに日の変更を伝えたようだ。本当に伝えたのかどうかはわからない。妻の記憶忘れかも知れない。でも、こんな時のついでにと言うのは非常識である。その日は他の利用者が入っていた。そうすると、その利用者に変えてもらって欲しい、と言ってきた。勿論出来ないとお断りした。
○ その次は、午前・午後の予定で借りているにもかかわらず、プログラムを見たらとれもそれでは終わらない内容である。幸いホールは夜間空いていたのだが「困ります、こちらにも予定があります」と言うと「どうせ空いていると思ったから」と返ってきた。
○ 更にある、前日の夕方7時に翌日のために機材搬入したいと言うから許可した。当方はどうせ事務所にいる。ところが、予定時刻過ぎになって「これから出る」と電話が入った。「当方は着時間として聞いていた」とはっきり申し上げた。さすがに黙っていた。1時間以上も遅れて機材を持ち込んできて「セッティング」をしようとしたので「搬入としか聞いていない」とお断りし、明朝セッティングとした。
この人には「今後利用するときには文書やりとり以外は認めないことにしよう」として待ちかまえていたのだが、その後は一旦予約したものをキャンセルし以降使わなくなった。育ちは有名校出のお嬢様らしいがとんだ人も居るものである。わがまま放題で育ち、多少知り合い関係ということでわがままを言ったのか、他のホールでも嫌われ者利用者なのかはわからない。こんな二重三重の諸々は他にはない。呆れた人しか言いようがない。
- 他の施設の故障で当方を予約、予約金を返せとねじ込んできた・・・ある施設が故障し使用不可となったので急遽申し込んできた。予約金はお返しできないと念入りに説明した。ところが、故障した施設の修理が早く終わり利用できるようになったからとキャンセルしたのだが、執ように予約金の返却を迫ってきた。
ほんの一握りに人への予約金の返却などは、経営に影響するほどでもなく返しても良いのだが、安易に返却すれば、利用者というものは安易な方向に流れ、他の施設でもそうなり迷惑になる。噂が広まるかも知れない。そんなことで今まで返却したことはない。
逆にある定期的な利用者がキャンセルしてきた。事情をお聞きすると「親御さんがなくなり出来なくなった」と言うことであった。予約金はお返しした。こちらもそこまでがつがつ厳しくすることはないからである。
- 2回日程変更し、最終的にキャンセルしてきた・・・定期的で毎年の利用者だった。予約をしてきたが、予約金を支払わず、2回変更の後キャンセルし、キャンセル料を払うと言ってきた。こちらは「いただかない」と言ってお断りした。こちらにもプライドがある。多分、その人はもう当ホールに近づくことはないだろう。こんな事で信用を失うことをどう思っているのだろう。
例は、探してもこんな程度なのである。
問合せは何回もあったのだが、カラオケ利用者は皆無である。ほとんどぞんざいな口調で値段など聞いてくる。それっきりである。恐らくカラオケルーム同然の数千円で借りられるものと思っているのだろう。もう一人居た。我々はボランティアだからと言いながら借りに来た。無料同然で貸して欲しいと言うことらしい。「私の方は何億円という借金をして返済しながらホールを維持している。気持ちはわかるが貴方方のような人ばかりだと当方は倒産する」と言ったら帰っていった。講演会などの利用も極めて希である。安い会議室で住むのだろう。地域性もあるかも知れない。
日常の掃除で困るのはラメである。あちこちに落とされ掃除が大変、簡単にはとれない。派手な人がつけるのはわかるが、下手な人ほどラメをつける傾向にあるようにみえる。当ホールは「ラメ禁止」と張り紙している。統制がとれていて気持ちよい利用者、子供達が騒いでいても注意しない先生や父兄、質素で好感が持てる団体、派手な衣装や贈り物が多い団体、など様々だがリーダを含み個人や集団の地域性や育ちがはっきり表れると言えるだろう。