PDCAと5W1Hと4S
物事には基本的な流れとして、
- 計画(Plan)・・・後で手戻りなどが生じないために緻密に計画を練る。
- 実行(Do)・・・・計画に沿って仕事を具体的に進める。
- 反省(Check)・・・これまでの流れ全体を振り返り、問題だった個所をとりまとめる。
- 対策(Action)・・・反省に基づき、次の仕事(計画や実行)での改善点を解決する。
という段階がある。反省と対策を併せて反省(See)という人もいる。これを、PDCAサークルという。誰でも知らず知らずにやっている。しかし、知らずにやるのではなく、強く意識してやることが重要である。
更に、物事はこんな単純にPDCAとなっているのではなく、DからPへ戻る場合もある。各々の中にも小さく部分的なPDCAがある。
- 計画し、ろくに実行もせず、また計画というのを繰り返している会社を、プラン(Plan)プラン(Plan)会社(計画倒れ会社)
- ろくに計画もせず、行き当たりばっかり主体でやっている会社を、ドー(Do)ドー(Do)回り会社(同じ失敗を何回も繰り返す会社;最近、ある自動車会社がこんなことで世間を騒がせている)
と言う。
反省とはやってきたことを十分に時間をかけて精査し、次の機会に生かす(対策)ことである。これで次の失敗も減り生産性も向上する。製造業などの場合、これを引継書類(マニュアルや作業標準など)にして、後任に徹底的に引き継ぐ。このためには反省会も十分な時間をかけ実施し、記録もきちっと残し忘れないようにしている。これを俺のノーハウだと隠していると、ノーハウが展開されないから、会社は全体が進歩せず衰退してしまう。
優良会社(特に量産している会社)はこの点には極めて厳しい。競争があるから、同じ失敗を繰り返せない。民間社会は甘くない。
地域の団体で「反省会」と言うことが頻繁に行われているが、実態は懇親会やご苦労さん会である。本当の反省会ではないから、私はあまり出席しない。虚しいのだ。懇親会と書いてあれば割り切って出席する場合もある。本来、反省会は計画会と同様に重要なのだ。
新しい・大規模・精緻な仕事ほど計画が重要になる。計画段階(源流とか川上という;逆は川下)でどこまで緻密に考えているかが、後の実行のスムーズさを決定し支配してしまう。簡単なことは、行き当たりばったりでも何とかなるが、新しい・大規模・精緻な仕事はそうは行かない。地域の多くの仕事は、慣習的であり川下どたばた対策であり多少複雑なものでも文書(計画書など)はほとんどない。逆に言えば、地域人間は新しい・大規模・精緻な仕事をスムーズにやるように訓練されていない。
計画を精緻にということは、まず、仕事の終わりまでを考えるだけ考えるという「急がば回れ」を実行することでリーダーに勇気(やるだけやって遅れたら仕方がないと覚悟すること、または一部をカットして納めること)が必要である。勇気のないリーダーは「急がば急げ」即ち、計画も満足に行わず実行に入る、をやる。手戻りなどが多くなり混乱する。混乱で済めばよい方で、完全にやり直しになる場合もある。しかし、地域でこんなことはあまりない、多少混乱しても何とかやってしまう。逆に言えば、その程度の事と言える。冬山と気候のよいときのハイキングは全然計画精度も準備も違うことは誰でも知っているはずなのに。
メーカにいて、技術部門で中年以降、生産性・品質向上の仕事を中心としてきたので、何事もこんな目で眺めてしまう。
物事の企画・実行には
《何・何故・誰・何処で・いつ・どんな方法》 (5W1H)
- 何をやるのか (What)
- なぜやるのか (Why)
- だれがやるのか (Who)人や組織
- どこで(どこを)やるのか (Where)場所
- いつ(までに)やるのか (When)行程
- どんな方法でやるのか (how)使用技術や工法
などが必須なのは当たり前である。
日常の小さな事ではいちいちこれを確認しない。なぜならば、お互いの常識の中で常識的にそれを判断しているからである。日常の小さな仕事でいちいちこんな事を確認していたら時間もなくなる。そんなことをしている内に小さな仕事は終わってしまう。お互いの熟練やインターフェースがそれを省略しているのである。
しかし、精緻な仕事・切迫した仕事・大きな仕事・難しい仕事・新種の仕事などでは、それらを確認しておかないと食い違いを起こす。こんな仕事の場合、工程表や分担表などを綿密に作成して仕事を進める。昔、多人数で仕事を分担し実行する技術者だったので、このようにしなければ管理も何も出来ないので、そのような習慣がついたのである。これは私にとっても非常によいことだった。しかし、一般的な人と接していると、この習慣がない。その結果、何度会議をやっても、口頭でぐちゃぐちゃ、次の会議では後戻りなどなどでいらいらする。文書をベースで進めなければ同道巡りや回り道が多くなる。
《この実行には以下も考えなければなりない》(4S)
- 単純に・明快に (simple)
- 標準的に・誰にでもわかるようにして (standardize)
- 専門的に・得意を生かして (specialize)
- 安全に (safety)
などである。他のsもあったかも知れない。これを徹底するには、文書(文章や図)が必要です(経験のないことは特に)。
- 文書作成は自分の頭の整理になり、不完全な面を減らす。
- 口だけでは、人数が多くなればなる程困難になり、後で忘れ、効率も低下する。
- 文書があり徹底できれば、忘れ同道巡も減り、物事はうまく行く可能性が高まる。
地域はこれが極端に不得意です。若い人は教育も昔の人以上に受け、パソコンなども使います。「文書ある地域(インターネットも含み)」にできれば、諸々の可能性は高まるでしょう。