再発防止
まず、こんな事例を見ていただこう。
《交換では不十分》極めて信頼性が要求されるものがある。例えば電車のバネなどである。それが破損したら大事故にもつながりかねない。衛星打ち上げのロケットなどもそうだ。何百億円が一瞬にして泡となってしまう。
ある、事例だが、
- 電車のバネ折れが発生した、古いものではない(現象)
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- バネを交換した(応急処置)
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- 何故折れたのか?(根本原因の追及開始)
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- メーカーに調査員を派遣し、原因調査をはじめた(一次原因の追及)
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- 製造におけるバネの焼き入れが悪かった(一次原因)
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- 何故焼き入れが悪かったのか?(より根本原因の追求)
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- 焼き入れ基準はあったが、守られていなかった(二次原因)
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- 何故守れなかったのか?
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- 製造者が交替し、未熟なものが製造していた(三次原因)
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- 何故、未熟なものにやらせていたのか?
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- そこまで製造管理を徹底していなかった《根本原因》
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《再発防止対策》製造員交代時は、熟練者との共同作業期間を一定期間取る。
これが再発防止策なのである。どうであろうか。
通常の人は途中までしか考えない。それで同じミスを繰り返すのである。途中までだと「今後気をつけます」という精神論で終わってしまい、気が緩めばまたミスが出る。根本原因の追及とは、多くが人や組織の仕組みや規律に至るものなのである。最近NHKのプロジェクトXでH2ロケットの失敗の話を見た。落ちたエンジンを海の中から大変な技術とお金を使い探しだし、推測に頼らない事故原因の調査を実施した。エンジンが発見され、思いもよらないところが原因であることがわかった。工業・農業を問わず再発防止にはこんな苦労をしているのだ。
こんなことを考えると、政治家やお役人の「今後気を付けます、再発防止致します」には我慢がならない。ほとんど精神論である。再発防止の厳しさを知らないと言うこともあるのだろうが、政治家は、政権交代があったり・大臣も一時・当落があったり、お役人は異動があったりで一時頭を下げておけば時間の問題、直ぐに庶民は忘れる、などと思っているのかも知れない。
《交換では不十分》と冒頭に書いたのだが、これは人や組織にも言えることであり「人や組織や仕組みに反省を促し、それらを変えること」なのである。