こんな言葉知っていますか?

 

 これらは、昔大手企業の技術者であった私が今まで教育を受けたり、ある程度会得して自分の組織に展開したりしたことがあるもので、一部はある程度理解しているものもあるが、こんなものだろうと思っている理解の浅いものもある。一言すれば「どのようにして製品を、品質よく・廉価に・短期間で世の中に出し(大量に)販売しようかとする方法論であり、一部には精神論を含むものである」。方法論の中には「組織の編成の在り方、仕組み、心理学」なども含まれている。ある程度の企業ならば全部とは言わなくても、該当する職種に必要なものを使い分けて社員を教育訓練し、それに基づいて社業を推進している。技術や営業を問わず、前者共通に展開されているものもある。こんなことで大手企業のあるレベルの人間は、言葉だけならほとんどが知っていると思って差し支えない。特に、大手製造業の場合は徹底的に社内で実践されている。

 一方、地域の小商人や小工業者はどうだろうか。多分、言葉は知らない方も多いだろう。しかし、内容を聞いてみれば、言葉は知らなくても「そんなことなら何となくやっているよ」というものもあるだろうし「そんなものがあるの」というものもあるだろう。しかし、小商人や小工業者の平均値から考えれば、大手企業に比較すれば、このようなものへの教育度合いも理解度合いも極めて低いと言えるだろう。こんな話しをすると、必ず出てくる反論は「俺はそんなものを今まで意識せずともやってきた」である。しかし「ああしておけば・こうしておけば商売はもっと発展していただろう、こんな失敗はしなくて済んだ」と言う反省は全くないだろうか。

 事業するには人・物・金・情報などが必要である。それらをまとめて資源などということがある。大手企業は、人を選別して採用し、物も金も豊富に持ち、情報の収集や宣伝の能力にも長けている。一方、小事業者の場合はなかなかそのようなことは難しい。こんなことで、一般的には小事業者は資源面からは大事業者に太刀打ちできないのである。それに、以上のような教育差があっては格差は開く一方なのである。

 そんなことなら全部が大手事業者に吸収されてしまいそうだが、そうはならない。しかし、ここまで説明する必要はないであろう。

 まちの諸々の行事には、小事業者が主体で行われていることが多い。その多くは慣習的なことで変化は少ない。役割もほぼ決まっており変わらない。何回か手伝いする内に徐々に覚え、身体に染み付きという具合で済んでしまう。だから、何でも出来るかというと大間違いである。難しいこと・大規模なこと・手戻りなく最短準備時間でという条件が付いたら上のような方法論や精神論を訓練されていない人間には太刀打ちできないのである。