手術前状況と症状
私は1941年生まれ、2004年63歳で偶然の血液検査で前立腺癌の疑いを持たれ、64歳で癌が確定した。特に自覚症状と言うほどのものはないのだが、身体の具合や過去の状況はこんなものだった。
《私の胃と十二指腸》
40歳頃、胃と十二指腸に潰瘍が出来、医師にかかったことがある。私の場合は、頭と胃の神経の結びつきが平均より少々強いようだ。以降も薬をもらい続けている。しかし、2週間分をもらうと、調子が悪くなりそうと思うときに飲み、1年間でそれを消費する程度である。こんな調子で20年ほど続けている。必要もないのに飲み続けると、リバウンドで薬を絶ったときに潰瘍が出来がちになるからである。最近は、年齢で惚けてきたのか図々しくなったのか、胃腸薬への依存は減ってきた。これは前立腺癌とは関係ないだろう。
《食生活と蕁麻疹》
前立腺癌が増えている。食事の洋風化や血液検査などで早期発見が出来るようになったことなどが理由とされている。しかし、我が家はほぼ和食系であり、タンパク質は魚が中心、肉は豚肉だ。牛系を頻繁にとると私のアレルギーで蕁麻疹が出るからである。45歳頃、蕁麻疹がひどく、身体の表面は勿論、消化器までに至った。こんなことで丸2年ほど苦労した。病院で検査を受けても先生は「いろいろ原因があって・・・」というだけである。仕方がないのかも知れない。薬をもらい抑えていた。抑えているのが自分でもよくわかる。蕁麻疹は出ようとしているのだが、薬が抑えるから何となく身体がむくんでいるような気がする。
多少良くなったので薬を断った。ある時、すき焼きを食べたらひどい蕁麻疹を起こした。「ひょっとしたら、蕁麻疹原因は牛系?」と思い、牛肉・牛乳・本バター・アイスクリームなど牛が関係するものは極力避けるようにした。そうしたら、けろり・すっかり治ってしまった。こんなことで、この頃から牛系はまれにしか口にしない。この時「病気を治すのは自分と先生との連係プレー、先生だけに依存するだけでは駄目、自己観察が出来なければ・頭が駄目になれば治るものも治らない」と思った。
《膀胱炎》
20年ほど前50歳ちょっと前に膀胱炎を患ったことがある。会社を退職し自営業になったのだが、春先外はぽかぽか陽気なのに、冷える事務所に2ヶ月ほど座り続けた結果であろう。売薬で治してしまったが、その時から膀胱の柔軟性が悪くなったような気がしていたが、年齢もありこんなものかなという感じも持っていた。
《胃に穴が》
入院直後、医師より「10年くらい前から出来はじめていたように思う」と言われた。退院後落ち着いたときにふとこんな風に思った。
その当時、私は多忙で、ある仕事を一段落し「通常だと胃や十二指腸を悪くするのだが、緊張からかそんなこともないまま通り過ぎてしまった、緊張していると違うのだな」と話していたのだが、数日後「下腹がはる」と夕方トイレに行くと真っ黒な便が出た。明らかに胃辺りからの出血である。
- 大穴なら即失神だが、そうではないから小穴だろうと自己判断、
- ここで今私が入院となると妻に影響が及び共倒れになる、ここは風邪をひいたことにして寝ることにしよう。
- 動物には自然治癒力がある。血がある程度出て、血圧が下がり穴が塞がり直るかも知れない、
- 3日寝て駄目ならば本当のことを言って止む終えず入院だ、
と覚悟を決めた。この時は1日たりとも入院はしたくなかった。2日目まではトイレに行くと便は黒い。駄目かと思いながら3日目にトイレに行くと便は白くなっていた。「やった」と思った。その翌日「直った」とデスクワークをはじめた。妻は私の顔色が黄色いとは言っていたが、それ以上は追求しなかった。黄色いのは血が抜けているから当たり前である。
胃の自己治癒力が強いことは知っていたから、その2日後に一人でふらりと60キロ程あるところに車でゴルフに出かけた。様子見のために練習場で玉を打ち始めると目の前が真っ暗になりはじめた。貧血である。あわててベンチに倒れ込み1時間ほど休み車を運転して帰ってきた。1週間後にはゴルフをしていたが、血の減少に身体が慣れていたせいかリタイアはしなかった。お酒も、少しずつ飲み始めた。飲まなかったら妻から疑われてしまう。私の友人で10日ほどゴルフに行かなかったら、奥さんから「身体でも悪いの」と言われた人が居る。でも、血が減っていたせいで半年くらいは飲み過ぎると意識が遠のきそうになったことがあった。
さらに、1年後胃の定期検診に訪れると医師から「これは何だ」といわれたので、話しをした。「運悪いと死ぬよ」と注意されたが「それは知っていたのですが自己判断で」と話した。妻に本当のことを話したのも、この頃であった。癌はこの頃、身体が血液不足で抵抗力や免疫力が落ち弱った異常なときに出来はじめたのかも知れない。
《精液が減った?》
その後10年ほどして60歳を少々過ぎた頃、精液が減ったように感じ始めた。これも年齢のせいなのだろうと思い始めた。静かにしているのだが尿道が軽くピクピクするようなことがまれに起こり1年ほど続いていたが、それもなくなってしまった(術後考えてみると、前立腺に腫瘍が出来れば精液は正常にはつくれないだろう、減った理由は、ひょっとするとこんなところにあるのかと思うことがある)。癌発見の3年ほど前だったろう。
2000年1月だったと思うが
毎年1月に胃カメラを飲む、この時血液検査もしたところ、お医者さんから「肝炎にかかりましたか」と聞かれた。「いいえ」と応じると「抗原は残っていないが、抗体は残っており肝炎にかかり自然治癒した形跡がある」と言われた。前立腺PSAとの関係はないのだろうか。
《膀胱辺がまれにちくりとする》
その後、膀胱辺がまれにちくりということもあったのだが、別に顔をしかめる程度のものではない、あまり頻繁に起こるようだとお医者さんに見てもらわなければと思うこともあったのだが、極めてまれなのでほとんど気にも留めなかった。これもまた忘れてしまった(癌の痛みだったのかと思うことがある)。癌発見の2年ほど前である。
2004年6月《身体の異常なだるさ》
一泊で遊びに行ったが、帰ってきてから身体が急にだるくなった。こんなのが3週間ほど続いたのだが、梅雨の時期でもあり、その後暑さも来てと言う具合で何も感じなくなってしまったので忘れてしまった。このだるさが続くようならば医者に行かねばならないと思っていた。この1月に上海に行って、お茶を買ってきた。だるくなる直前から飲み始めておりこの影響があったのかも知れない。このお茶を買った友人から、早速飲んだら具合が変になったので注意、と電子メールが入っていた。お茶はやめてしまった。ひどいだるさはなくなってしまったが、ここ数年は夏は少々だるさで苦労していた。年齢のせいかなと思っている。癌を疑われる直前のことであった。
2005年春〜《さすると気持ちよいところがある》
右腹部、縦位置は臍下5〜10センチくらいだが、痛いわけではない、しかし何となく何かある感じで違和感がある。さすると、こりをほぐす感じで気持ちいい。ここは変で手術後も、何となく意識する部分である。原因や理由も全然わからない。
《その他症状》
冬に急に尿意を催し、一生懸命我慢してトイレに行くのだが、大して出ない。急いで用を足すと残り、パンツを濡らすのでのんびり小水などは心掛けていたが、年齢のせいだと思っていた。尿の勢いは明らかに減っていた。
大けがはしたことはないのだが、多少は運動好きである。大学時代にコンクリートの上で長時間縄跳びをし、背骨を痛め、その後しばらく運動もできず斜め座りをしていたことがある。20代からゴルフを始めたが、背骨を何回も痛めたことがある。60歳頃、雪国で凍った駐車場で転び右臀部をしたたが打ち、数日はびっこ、その後もしばらくは異常を感じていた。しかし、通常の生活やゴルフには何の支障もなかった状況だった。
これらは全部医者には行かなかった(精密検査の骨シンチレーションで脊髄と右足付け根に何か異常を感じませんかと言われたので、これを話した。足の付け根の痛みは、自分でもどこかでひねったのかと言う程度のもので、時々足のある動きで感じる程度である。生活や運動には何の影響もなく気にするほどのものではなかった。念のためにと腰部のレントゲンをとったのだが、その範囲では転移ではないだろうということになっている。しかし、ホルモン剤を使いはじめてからは、足の付け根は意識することは全くなくなったのだが、関係があるかどうかは全然わからないところである。
《疲労感》
手術前半年ほどは結構疲労感があった。疲労感と言っても、軽い昼寝程度で、年齢のせいなのか、癌細胞が発する毒素などのせいなのかはわかららない。昔、母が身体がだるいと言って産婦人科にかかっていて、更年期障害と思っていたら乳ガン、切除手術をしたら身体が軽くなり、癌細胞のせいだと言っていた経験がある。前立腺癌は自覚書状はないと言われるが「初期状態では自覚症状が軽くわからない」と言えないのだろうか。ホルモン治療を一時した結果(2005.7〜9月)なのか、これも因果関係はわからない。疲労感は、ここ5年ほどの記憶である。
思い当たる点は、こんなところであり、年齢のせいなのか病気のせいなのかは全然わからない範囲である。精液が減った、何かちくりなどで医師に相談すべきなのだろうか。これらの一部が自覚症状なのかどうかはわからない。しかし、PSAが身体を回っていれば何かあるようにも思う。しかし、このレベルでは自覚症状と断定することは絶対にできないだろう。ここ数年は梅雨時など身体がかったるいことは多かった。それが誰しも気候のせいでかったるいのか、年齢のせいなのか、病気のせいなのかはわからない。手術後の少なくとも2006年の梅雨から夏にかけてと以前との比較については比較が可能かどうかも含めて非常に興味がある。