パケット通信
- 道路に車が流れている。線路にも列車が流れている。一つの道路や線路に、長さが制限された複数の車や列車が流れている。交通はそもそも「パケット交通」である。
- 昔からの一般的な電話の場合には、こちらから相手まで交換点や伝送路を経由して往復の電話線を固定して調達、それを占有して通話をしていた。欠点は何かと言えば、電話の場合、大方は片方しかしゃべっていないので、どちらかの線路は使っていない(情報は流れていない)。両方が黙りこくる場合には、両方とも使っていない。とこんな具合である。だから、線路の利用率は50%よりはるかに以下である。線路を無駄にしていたのである。
- しかし、これもやむを得なかった。伝送路も高かったが、今のように高速のコンピュータ(チップ)はないので交換点も高くて低速で、これ以上は出来なかったのである。
- ところが、伝送路も(光なども出てきたし、いろいろな方式が発展して)高速になり、交換点の主要要素であるコンピュータチップやメモリーも高速化してきた。更に、世の中が必要とする情報量も急激に増えてきた。当然、工夫が始まる。
- 伝送路を100%有効に利用しようとする工夫である。例えば、1本の伝送路がある。ここに複数の利用者(A,B,C,・・・)の情報を100%乗せようとすると、
- まず、複数の利用者の情報を(A1,A2,A3・・・,B1,B2,B3・・・,C1,C2,C3・・・)のようにぶつ切りに区切る。
- それを(A1,B1,C1,・・・A2,B2,C2,・・・A3,B3,C3・・・)のように並べ替える。
- それを、記憶装置に一旦記憶しておく。
- 記憶した物を、一挙に伝送路に送り込む。
- こうすれば、100%と言わなくとも、かなり高能率に伝送路は使えるのである。CPUやメモリーも高速で安くなったのでぶつ切り、並べ替え、記憶などが安く可能になったから、こんな事ができる。
IP電話は、音声をこんな風に送っているはずである。
- 欠点はある。待たされるから情報はその分遅延してしまう。また、大きな情報をパケットに区切って送信するから、受け側ではパケットの順番を整理して、組立直さなければならない。ここでもまた遅延が発生する。
- 利点もある。パケット毎に「誤り検出符合」が付けられている。情報に対してある演算をして、余りなどの値を付して送るのである。受け側では、受けた情報と余りなどの結果を演算し、誤りがあった場合には再送を促すことができる。送る情報の精度は向上する。
ただ、音声や動画などに対してまでこんなことを行っているかは疑問がある。網の効率が悪くなってしまうし、それらがそこまで品質を要求することは少ないだろうと思うからである。
- 道路網で言えば、高速道路のインターチェンジで車を車間距離なしで待たせ、一挙に道路にそのまま送り込むようなものである。車は危険でこんな事は出来ないが、情報はこんな危険はないから自由に出来る。
もう、10年以上も前に聞いた話であるが、電話の情報量より、その他の情報の方が多い時代という、今はもっと差が開いているだろう。