技術進歩
こうは書いたが、専門書を見ているわけではなく、推測である。
- 電磁波は空中を伝搬する不思議なものである。これには1秒間に何回変化が繰り返されるかという「周波数」というものがあって、低い周波数のものから長波→中波→短波→VHS→UHF→光(各種の色)→各種の放射線などに分類される。昔のラジオ放送は中波と短波の領域だったが、技術進歩で高い周波数も徐々に使えるようになり現在に至っている。これらの波は、全部同じものなのであるが、周波数によって特性が変わってくるのである。電磁波というものが何物なのかも多分わかっていない。我々はその特性を知って利用しているだけなのかも知れない。
- 情報を送るには、この電波を変形して情報を乗せなければならない。これを「変調」という。
変調された電波を受けた側は、それを人間が把握する形(画像や音や情報)に戻さなければならないのだが。これを「復調」という。
変調の方法にもいろいろあってAM(ラジオ)、FM(従来のテレビやFM放送)、PM(位相変調と言いディジタルと言われる最近のものにはこれが使われる)、PCMなどがある。複雑で私にはわけがわからないものもある。
- アナログ・ディジタルなどと、皆わかったような気になっているのだが、これを厳密にわかっている人は一般人には極めて少ないだろう。私ですら完全にわかっている自信はない。ディジタルは数字などと言う簡単なものではない。
- 何故、アナログと言うのかも私にはわからない。おそらく「送ろうとする波形を似ている形で送ろうとするから:analogue:類似」から来ているのだろう。一方、ディジタルは「digital;アラビア数字・指などとある」、こんなことから来ているのだろう。
- アナログの伝送路にディジタルの信号を送ることも出来るし、ディジタルの伝送路にアナログの信号を送ることもできる。こんなことを書くと一般の人は益々???となってしまうので止めるが、これだけ理解するのもちょっと時間がかかる。音楽をPCM変調して、アナログ伝送路で送るなどもあるし出来るのである。
- 電気屋同士では「ディジタルも所詮アナログなんだよな!」という言葉が交わされることがあるが、これはフーリエ級数という数学的な理解がないとわからない。昔、ある同級生が「会社に入ってみたら、フーリエ級数を教えていない大学があることを知った」というので、皆で???となったことがある。
- 技術進歩だが、変調や復調もAM(ラジオだけの時代)→FM(テレビが出てきて)→PM・PCM(それ以降)などのように進歩しており、それぞれの変調もその中で進歩している。また、いろいろな変調を複合的に利用しているものもある。復調は変調に対応していなければ使用できないのだから一緒に進歩しているだろう。
また、ディジタル処理というものも大きく進歩したのである。アナログの変化を数値に変換し、その数値を解析して処理する方法が進んだのである。このようなものは、電子部品の高速化がなければ理論だけでは実現できないものである。PCMなども1930年代にはもう発明されていたのである。自動車電話も開発当初は、乗用車のトランク一杯、後ろの座席をはずしてバッテリーを搭載(1970年頃)、それが今は携帯電話の大きさである(人間が使う以上、これ以上筐体は小さくできないだろうが)。
- パソコンのディスプレイやディジタルカメラなどでは画素と言う画面を構成する点の数が使われる。例えば横方向に1000、縦方向に800の点の集合で四辺形の画面が構成されていれば1000×800=800,000(80万)画素である。横縦倍になれば4倍で320万画素となる。単純に、80万にRGB(色情報;赤緑青;光の三原色)と明るさ(8ビット:256段階)を掛け算すると、情報量は800000×3×8=1920万ビット(240万バイト:2.4GB)となるのだが、実際のディジタルカメラでは、こんなに多量のメモリーは消費しないから、後述の大幅な圧縮が行われているはずである。
パソコンやディジタルカメラとテレビの基準は違うらしく、詳しくは私にはわからないのだが、標準テレビで20〜30万画素相当らしい。20万とすれば600KB(キロバイト)相当なのかも知れない。何だかよくわからないのだが、大昔の白黒電波時代→標準カラー電波時代→今のHDカラー電波時代と1chの電波帯6GHzで情報を送っていることを考えると、変調や後述の圧縮技術で5〜10倍の範囲の情報量(正確には情報量とは言えないかも知れない)が送れることになっていると思ってよいのではなかろうか。本などではハイビジョンは走査線が多いから綺麗などと書いてあるが、執筆者もどれだけわかって書いているのだろう。満足な説明は見たことがない。
- 画像・音などは所詮情報と言えるのだが、情報の「圧縮技術の進歩」もある。簡単に言えば「一連の情報をやはり演算処理などで少なくして送る。それでも、情報の劣化は(ほとんど)起こらず、受け取った側で(ほぼ)再現できる。」というものである。FAXなどでも使われているし、画像・音声など情報毎に方法は勿論異なる。
最近のデータは、単なるすし詰めではなく、このように数値化や変換・圧縮して、送られているものがほとんどである。これもまた専門領域で、素人が説明できるようなものではない。
- FMのテレビが台頭して来てからもう何十年となるだろう。技術は刻々とこのように進歩してきたのだが、世の中に存在するものを、新しい方法が出来たからと、その都度廃棄(新しいものに変える)することは出来ない。そこで、今まで時期を待っていた、今もうやらなければ、と言うのがテレビのディジタル化への移行と言えるものだろう。例えば、VTRレコーダーなどを昔買うと結構重いものだった。今は、大きさは似たようなものだが軽々としている。電子部品が進歩し中はがらんどうになっているはずである。だから、安くもなっている。