天体望遠鏡と私

 71歳を過ぎて、天体望遠鏡を購入した結果、こんなことをはじめてしまった。
 天体は嫌いではない。中学生の時代に「天体学者になりたい」と親父に言ったら「食えないぞ」と言われて一瞬にしてあっさり諦めてしまったことがある。その情景まで記憶している。
 こんなことを言いながら、覚えるのは嫌いだから望遠鏡で天体を眺めた記憶は全くない。どちらかと言えば、天体にある真理や理屈の方が好きなようなのだが、と言ってそれがわかるわけでもない。こんなことだから、星座でわかるのは北極星の位置を調べるヒシャク程度である。
 と言いながら六十代から「天体望遠鏡くらいは眺めてみたい」と思うようになっていた。家電の量販店に行くと、ずらりと安い望遠鏡が並んでいるから刺激を受けたのかも知れない。
 2012年9月の終わりに、インターネットでVixenという口径8センチの屈折型を注文した。待っていると数日で届いた。2012年の10月のはじめである。早速、組み立ててセットして待ちかまえていたのだが、

 
タイトル 内 容 記 事
天体を眺め考える 表面的な理解だけでは済まない性格である。宇宙の全体像という基礎知識は直ちに必要だろう、と調べてみた結果である。
 
万有引力常数と太陽系
引力は星の中心に全質量が集中していると考えて計算すればよいのだが、積分により確認してみた。天体を眺めることとは関係ないが、昔から気になっていたことだった。
様々な万有引力・引力計算

 私はいろいろ計算してみてわかったことだが、最初からこんな結論を知っておくと興味が湧くかも知れない。
  1. 星などの重力計算の場合、球の中心点に質量が一点集中しているとして計算して良いことは誰でも知っているのだが、実際に計算して試していた人はどれだけ居るのであろう。不思議に思って、古希を過ぎてから計算してみようと思ったことである。
     最初にやったのは、直行座標での「重力点は本当に球の中心にあるとして良いか?」の計算だった。質点Mと言う球の外部や球表面の場合には、中心で良いことはわかった。
     直交座標では、横の層から受ける重力分布がわかる。これで、わかることは、Microsoft Excelなどで計算してみると当然近い位置からの影響が大きいことだった。極座標のように球体内部の場合はやらなかった。
  2. 次に極座標での計算を発見し、いろいろ思い出しながら「球殻の場合の重力点はどこにあるのか?」をやってみた。球殻の外部や表面の場合には、当然重力点は球殻の中心になるのだが「殻の内部に入ってしまうと、どんな点でも無重力」であることがわかった。これは興味深いことで、地下に潜った場合には、自分の足下から球の中心に向かう方向の球質量分の影響しか受けないと言うことで、重力は徐々に減って行くことがわかる。上空に行けば減る(距離が離れるから)、内部に入っても減る、と言うことは最大は地表であるということである。
  3. もし、地球に隕石などが落下する場合(地球の中心に向かって垂直に落下する、空気抵抗も考えないと仮定)その加速度(等加速度運動ではない)・速度・時間の関係を知りたくなった。まず、ポテンシャルエネルギーをおさらいしなければならなかった。
     おさらい後、加速度(等加速度運動ではない)・速度・時間の関係は容易に計算できた。ただ、実際には質量は一点集中ではなく、この計算は質点表面に到達するまで、という制限があることが球殻の計算でわかる。
  4. ポテンシャルから直ちに思ったことは、それが「-1/R」比例であるから、R=0では無限大になり、それは原子レベルで考えると量子力学(核融合など)に行き着くのかと思ったことだった。
  5. 隕石などは地球に落下した途端に破壊や停止してしまう。計算が成り立つのは、地球表面までであり、もし、地球に垂直に裏側まで穴が掘ってあった場合(勿論内部は真空)には内部に対する計算式は別の式となることがわかった。即ち、球の中心まで同じ式で行ってしまうのは間違いで、表面に達した瞬間から別の式になると言うことである。そこで、それをやってみた。
  6.  ここまでは、一方の質量が他方の質量より無視できるほど大きい場合をやってきたのだが、無視できない場合が気になってきた。そこで無視できない場合をやってみた。
  7. と言っても、所詮爺の遊びであった。
これは、電気系における磁力や電荷の計算も全く同じであるので、宇宙系の人々だけのものではない。

左記3の計算をした直後にソビエトに隕石が落下(2013年2月)し、衝撃波被害があった。今度は衝撃波が気になってきた。